さくらシリーズの

ようやく幸村君あいて話
グロウさんです(すでに捕まえてある設定)


ツキ殿は不思議な御方である
初めてこの人を見たときは物の怪か、妖怪かと警戒したものだ
けれど、今となっては某の大切な一人に他ならぬ
かぁどというものを集める手伝いをするのは嫌ではない
むしろツキ殿をお守りできるのだと考えれば苦ではなかった
(それを伝えるとツキ殿は『んな大げさな』と笑っておられたが
 無論、大げさなどではない)
この乱世にこうも違和感無居座れてしまえるのは、異世界人だからなのだろうか?

「おーい、幸村 何してんの」
「ツキ殿!何・・・と、いうことも無いのでござるが」
「ふぅん、そ  あのさ、今夜時間ある?」
「うむ、特に用事もありませぬよ」
「んじゃ、8時・・・ええと、なんつーんだっけ?いぬ、戌の刻だったっけ?
 まあいいや、そのぐらいの時間になったら裏手の庭に来いよ いいもん見せてやっから」
「いいもの・・・・?」
「それはオタノシミってことで」

じゃあな、と伝えるだけ伝えて去ってしまわれた
・・・夜に、しかもツキ殿自ら某と出かけたいとは珍しいこともあるものだ
自然と笑みを浮かべてしまう
いったい何処へ連れて行ってくれるのだろう




「よう、おせーぞ」
「す、すまぬ!佐助に小言を言われていてな・・・」
「あー・・・どんまい」
「どんまい・・・?」
「気にすんな、 んじゃ行きますか!しっかりついてこいよ」

どことなくウキウキとした足取りでツキ殿は歩いていく
月光が木々の隙間から森を照らし、怖くはなかった
心地よい風が頬をなでる ほっと息をつくとツキ殿は振り返って笑った

「最近忙しそうだったからさ」
「・・・そうであろうか?」
「自覚ナシってやつ?書くほうの仕事とか幸村に合ってないだろ
 体動かしてたほうがいい・・・ってそりゃ戦だから、あんまよくないけどな
 とにかく、書く系の仕事ばっかだったから気が滅入ってんじゃないかと思って」
「それで・・・・」

胸のあたりが温かくなる
そこまで某のことを気にかけてくれていたのだろうか
人に関して興味がない、といったようなツキ殿なのに
・・・いや、それは某が勝手に思っていた、思い込んでいただけだ
ツキ殿は優しい、さりげない気遣いが心地よい

「さーて、ついたついた」
「ここは・・・?特に、何もないようでござるが」
「ま、そりゃそうだな だってただの草原だし」
「・・・」
「だーけーどー? それを変えちゃうのが俺ってわけよ
 封印解除―レリーズ―

ツキ殿は某に視線をやると、パチリと片目を閉じると
ごそごそと袋からかぁどを取り出す
しかしそれは某の見たことがないものだった
いつ捕まえたのであろう・・・?

「光よ、雪と化しこの者に癒しを! グロウ―THE GLOW―

キィンと甲高い音が辺りに響く
が、特に何か起きるということでもない・・・ ・・・ ?

「な、なんと綺麗な・・・!!!」
「こいつは魔力が弱くってさ
 ずっとここに居たらしかったんだけどまったく気づかなかったわ
 ま、悪さもしないし かといって使う場面もあんまり無かったんだけど
 ・・・こうやって幸村が喜んでくれんなら、嬉しいわ」

こういう力あってよかったかも、と笑ったツキ殿になぜか顔が熱くなった
誤魔化すように天を見上げるとそこには淡い光が、まるで雪のように降り注いでいた
まるで夢をみているような美しさである
そっと指をやるとふわりと消える

「幸村」
「・・・どう致した?」
「俺は、戦に参加できない 武田の名も名乗れない、ただの居候で
 佐助さえも俺の調べがつかない異端者だ」
「っ、そのようなこと・・・!」
「あまつさえカード集めとかいって、他国の者が出入りしやすい状況に置いてる
 もちろん俺も、変なヤツが来るならぶっ飛ばすけど
 ・・・そんな俺を傍においてくれてありがとう、感謝してる
 俺を見つけてくれたのがお前でよかった」

視線を光にやったままツキ殿は淡々と話していった
某は、

「そこまで分かっているツキ殿ならば、大丈夫であろう
 皆分かってくれる あの佐助でさえツキ殿を認めておるのだ
 ・・・某こそツキ殿と出会えてよかったと思う
 ツキ殿と出会わなければこのような光景を見ることもなかった」

もっと、言いたいことがあったが上手く言葉にできない
けれどツキ殿はおどろいたような顔をしてから、照れくさそうに笑う
淡い光がただしんしんと暗い森を照らす
某も気恥ずかしくなってツキ殿から視線を逸らした

「・・・そ、そろそろ帰るか」
「そ、そうでござるな!佐助も心配している!!」

心臓がどきどきと動いて仕方ない
先ほどよりも歩く速度がわずかに速くなっているツキ殿に
某は少しだけ笑ってしまった

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